改正相続法と遺言の確実な実現に関する研究会
設立趣意書
令和元年7月27日
各 位
呼びかけ人
弁 護 士 遠 藤 英 嗣 (遠藤家族信託法律事務所)
弁 護 士 金 森 健 一
司法書士 大 貫 正 男
弁 護 士 伊 東 大 祐
令和元年7月1日、配偶者居住権の創設等を除く改正相続法の大部分の規定が施行され、遺言の効力についての従前の判例法理が変更され、遺言の効力が大幅に制約されることになりました。
相続による権利の取得について899条の2の規定が新設され、法定相続分を超える権利の取得については対抗要件を具備しないと第三者に対抗できないこととされ、その結果いわゆる相続させる遺言による権利取得についても、従前の最高裁判例を変更し、対抗関係に立つことに変更されました。
また、遺言執行者があるときについての執行を妨害する行為の禁止に関する1013条に、新たに第2項・第3項が設けられ、妨害する行為の無効が明記された反面、その無効は善意の第三者には対抗できないこと、債権者の権利行使は善意悪意を問わず妨げられないこととされ、この点でも従前の最高裁判例が大きく変更されることとなりました。
これらの法改正は、これまでの遺言書作成・遺言執行の実務に対して、大きな変更をもたらすものです。
遺言者の遺志を適法な範囲で極力実現するためには、これらの法改正がもたらす影響について、具体的対処の方策を研究することが求められていると考えます。
資産の承継方法を遺言から信託に切り替えることや、遺産の整理及び帰属先への承継を目的とする信託を組成する方法等、活用しうる方策について、具体的活用方法の詳細を早急に明らかにすべきと思われます。
また、これまでに作成された遺言については、追加的遺言の作成での補完や、遺言執行者の権限による対抗要件主義化への対処等、可能な対処の方策を検討することが求められています。
ついては、関連の法制度と今回の改正に関心を有する研究者・法曹等実務家等に対し、この問題を研究する研究会の結成を呼びかけます。
呼びかけ人において構想している研究会の概要は、次のとおりです。
1 研究会の名称 改正相続法と遺言の確実な実現に関する研究会(仮称)
2 研究会員の資格
・民法等の研究者
・弁護士その他法曹関係者
・司法書士
・税理士
・信託銀行、信託会社関係者
・遺贈寄付実務関係者
・遺贈寄付を受け入れている公益法人等関係者
・その他本問題に関心と識見を有する者
3 研究の方法
・1か月から2か月に1度程度の会合の開催(開催地は東京を中心に想定)
・メーリングリストによる情報・意見交換
・ホームページによる情報発信
4 研究の期間
概ね8か月程度を想定。
5 成果の発表
・研究成果を論文にまとめ、専門紙誌に掲載。一般メディア向け公表。
・ホームページによる公表
6 事務局
弁護士 伊東 大祐
〒105-0052 東京都港区赤坂3-8-1 赤坂アルトビル8階 村上総合法律事務所
電話 03-3585-5500 FAX 03-3585-5896
e-mail:dai-ito@kb3.so-net.ne.jp
7 費用について
ホームページは無料サービス活用予定。
メーリングリストは事務局が既に使用しているサーバを活用し追加費用はなし。
公刊物については出版者と相談。
研究会会合会場費は、適宜カンパを募ります。